Photo: pixhidalgo
高級注文住宅を建てることを決められた方には、依頼する建設業者として、設計事務所かハウスメーカーで迷われている方も多いのではないでしょうか。
実は、オーナーによって、設計事務所とハウスメーカーのどちらが合っているのかは異なります。それぞれの建設業者は全く違う特徴を持っているため、オーナーとの相性が違ってきます。したがって、どちらを選ぶかで、住宅を建てるまで・建ててからの満足度が全く違ってきます。
この記事では、設計事務所とハウスメーカーの違い、そして適切な選び方を解説しています。
こちらの内容を頭に入れていただければ、明日からの住宅計画がより効率的に、安心して勧められると存じております。
ちなみに、こちらの記事では工務店は扱いません。工務店というのは、地場に密着している住宅建設会社のことを指します。工務店の中には、豪邸を建設できるだけの技術力を持っている会社も確かにありますが、多くの会社は工法が木造中心であったり、提案力が強くないところが多いのです。したがって、こちらの記事では工務店は省略しております。もし、工務店について知りたい方は、別の記事を参照していただければと存じます。
設計事務所とはどんなところか
一般的に設計事務所は、単独〜数名の建築士が代表者として住宅の設計を行っているプロフェッショナル集団のことを指します。
設計事務所では、独立開業するだけの豊富な経験と知識を持った設計士が関与しています。ですから、一般の工務店などと比べて、圧倒的にデザイン力が高く、オーナーの希望する条件を元に自由な発想で提案をしてくれます。
形式的・画一的という言葉とは程遠いような、柔軟な発想で世界に一つだけの、オーナーだけの理想の家を考えてくれるでしょう。
また、設計事務所は少数精鋭の設計士・担当者で構成されているため、構想から完成まで、オーナーの親身になってコミュニケーションをとってくれるところが魅力です。
ハウスメーカーとはどんなところか
ハウスメーカーとは、全国に広く展開している住宅メーカーを指す場合が多いです。正確な定義というものは存在しませんが、一般にテレビCMなどで広告を出していることも多く、ほとんどの方はご存知かと思います。
ハウスメーカーの特徴の一つは、技術力に優れていること。資材の調達や加工に全国・海外に広いネットワークを持っていて、低コストで優れた品質の材料を供給できます。また、大手ともあって、優秀な人材を多く抱えているだけでなく、莫大な研究開発の投資があることから、その成果を利用できることも強みです。
大手のハウスメーカーは全国にモデルハウスを用意していますし、カタログなどの情報も充実しています。今すぐにでも、注文住宅の情報を手に入れることができるため、とても便利です。
設計事務所 vs. ハウスメーカー

デザイン力・技術力
ハウスメーカーは一定の規格化がされていて、柔軟な設計をしてくれないのではないかと、不安な方も多いのではないでしょうか。
しかし規格化されていることは、建設技術はもちろん、仕入れる建材や担当者の対応、アフターメンテナンスまで、一定の品質が担保されているということでもあります。ハウスメーカーに依頼することで得られる最も大きい部分は、一定の技術力を持っているということでしょう。
さらに、ハウスメーカーの中には、自社で研究開発に投資し、オリジナルの技術(工法や素材など)を売りにしているところもあります。メーカーによっては、独自の技術をブランド化して、一定の技術力をアピールしています。
しかし一方で、デザイン力に関して言えば、専門性に特化している設計事務所には及びません。ハウスメーカーはとても大きな会社組織なので、オーナーと接する担当者、設計、施工の各部門が分かれており、オーナーの要望に合った自由な設計が一貫して取り入れられないことが頻繁に起こるのです。
設計事務所の場合は、ゼロの状態からオーナーの声を反映させて設計を進めるため、途中で新しいエッセンスを入れたり、デザインを細かく変更・調整していくことが可能です。ハウスメーカーでは引き受けてもらえなかった工法やデザインも、設計事務所の建築家なら実現できる場合が多いでしょう。
また、施工の技術力という面では、設計事務所とは別に施工会社と建設請負契約を結ぶため、依頼する施工会社の力量を判断することになります。ですから、どの設計事務所を選ぶかという観点では、単にデザイン力が問題となるでしょう。
工法
ハウスメーカーの工法は木造が中心ですが、軽量・重量鉄骨を施工できる会社も多くあります。コストを下げるために、ある程度規格化されているため、柔軟性は一段劣ると考えて良いでしょう。
一方、設計事務所の場合は、まさに自由自在。
木造も鉄骨もRC構造も、建築家の腕次第ではどういった工法を採用することもできます。逆に言えば、設計者の不得意な工法もあるのが事実。木造が得意な設計者もいれば、RCに長けている設計者もいます。オーナーが選びたい工法があるのであれば、それを得意とする設計事務所に任せるのがベストでしょう。
価格
高級注文住宅を建てる計画をされているオーナーの方の多くは、建築にかかるお金にも関心をもたれていることでしょう。もし工法や使用する素材・デザインが同一だとすれば、ハウスメーカー、設計事務所のどちらでも、住宅の施工にかかる金額は同じくらいになるはずです。
違いが出てくるとしたら、施工代金に加えて、設計事務所の場合は設計料・監理料が発生するところ。
ハウスメーカーも設計事務所も、施工業者に依頼する部分は変わりませんが、設計事務所の建築士にデザインを依頼する分、そのデザインにかかる料金が上乗せされるのです。
一般的に、設計料・監理料の合計は、建築にかかった代金の10%前後。
ハウスメーカーに依頼する場合との支払いキャッシュの金額の違いに注意が必要です。
アフターメンテナンス
高級注文住宅は、建てたら終わりではなく、その後も長く住み続けたり、資産価値を維持するためには定期的な修繕は必須です。ハウスメーカーの場合、数年ごとの定期的な点検や補修サービスが建物保証の一つとして付帯するようになってきました。そうした制度は大手の会社が特に優れています。アフターメンテナンスの専門部隊を備えている会社もあり、安心感を持って付き合いができます。
一方、設計事務所に依頼する場合でも、アフターメンテナンスにまで付加価値を提供してくれるところも増えてきましたが、提供しているサービスの内容・質にもよるでしょう。大手のハウスメーカーと比べるとまだ弱みであると言わざるを得ません。
設計事務所 | ハウスメーカー | |
デザイン力・技術力 | ◎ | ○ |
工法 | ◎ | ○ |
価格 | ○ | ◎ |
アフターメンテナンス | ◎ or ○ | ◎ |
さいごに

設計事務所とハウスメーカーの特徴をご紹介し、それぞれのメリット・デメリットを解説してまいりました。ご自身の理想とする高級注文住宅にふさわしいパートナーはどちらだと思われましたか?
豪邸を作れるだけの技量を持った設計事務所、ハウスメーカーはいくつか存在しており、どこに依頼すれば最適か、迷われる方が多いのは事実。それぞれの強みと弱みを把握した上で、オーナーの理想を現実にできるパートナーを選びたいですね。