高級注文住宅を建てるときや入居してからは様々な費用が発生しますが、税金も無視できるほど小さくはありません。
特に土地・建物の評価額に応じて課税される固定資産税などは、高級注文住宅では高額になりがちです。
ただし、これらの税金でも住宅向けに一定の軽減措置があるなど、知っておけば有利な制度も存在します。
支払うべき税金の額を抑えるために知識を備えておき、高級住宅のオーナーとしてご自身の資産を守る必要があります。
この記事では、高級注文住宅を建てるとき、入居する前から入居後まで、どんな税金を納付する必要があるかについて、また軽減措置はどのように適用できるかを解説しています。
設計前から知っておくと有利になる優遇措置も説明しておりますので、ぜひ一度目を通していただければと思います。
入居前にかかる税金
まずは注文住宅の設計〜着工、竣工に至るまで入居前にかかる税金です。
印紙税
設計事務所及び施工会社と契約を交わす際の契約書の金額に応じて課税されるもので、契約書に収入印紙(切手のようなものを別途購入するもの)を貼って納税します。
具体的には、土地の売買をする場合、建築士事務所への設計依頼をする場合、ゼネコン等へ工事を依頼する場合のそれぞれで契約書を結び、各々の契約書に印紙税が発生します。
- 不動産売買契約書
- 建築設計・監理業務委託契約書
- 工事請負契約書
税額は以下の通り。
高級注文住宅を計画中のオーナーにとっては気にされる必要のない額ですが、一定額の軽減措置が令和2年3月31日までとられています。
国税庁サイト (https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/08/10.htm)より
具体的な金額は国税庁のサイトを参照してください。
消費税
建物の設計費・監理費、工事費には10%の消費税がかかります。
ちなみに、土地の売買では、消費税は非課税となります。
登録免許税
土地・建物を取得する時には、所有権の登記をする必要があります。登記の際には、土地や建物の評価額に応じて、登録免許税を納める必要があります。
土地・建物の評価額に一定の税率をかけて税額が算出されます。
登録免許税には、一定の条件を満たせば税率が軽減される優遇措置があるため、チェックしておきたいところ。
登録免許税の計算方法
種別 | 税率 (カッコ内は軽減措置適用後) | 軽減措置の適用条件 |
土地 | 固定資産税評価額×2% (1.5 %) | 2020年3月31日までに登記すること |
建物 | 法務局認定価格×0.2 % (0.15 %) | ①自己居住用の住宅である ②新築又は取得後1年以内に登記 ③登記床面積が50m2以上 ④2020年3月31日までに登記 |
不動産取得税
新築で住宅を建てたとき、または売買により土地建物などの不動産を取得した場合に、一度限りかかる税金です。
取得後6ヶ月〜1年半くらいで納税者に通知され、都道府県へ納付します。
住宅や宅地などは、課税標準(固定資産税評価額)の減額の特例、税率の軽減措置、税額の軽減などの制度があり、少し分かりにくいかもしれません。
しかし、上手く活用すれば大幅に納税額を減らすことができるため、知っておきたいところでもあります。
不動産取得税の計算方法
種別 | 課税標準の特例 | 税率 (カッコ内は2021年3月31日までの軽減措置) | 軽減措置 | 軽減措置の適用条件等 |
土地 | 評価額×1/2 | 固定資産税評価額×4% (3%) | 次のうち大きい額の方を税額から控除 ・4万5000円 ・(土地1㎡あたりの評価額×1/2)×住宅の床面積の2倍×3% | ・住宅の床面積が50㎡以上 240㎡以下 ・取得から3年以内に住宅を建てること |
建物 | − | 固定資産税評価額×4% (3%) | 評価額から1200万円を控除 | 住宅の床面積が50㎡以上 240㎡以下 |
入居後にかかる税金
住居や土地などの不動産を所有していると、毎年課税されることとなる税金があります。
こうした税金は、短期的には小さな額でも、長期的に見れば、ご自身の資産運用にマイナスの影響を及ぼすほど大きな額となります。
固定資産税
固定資産税および都市計画税は毎年1月1日時点で所有している土地・建物に課税されるものです。
物件ごとに固定資産税評価額が定められており、これをもとに市区町村が税額を納税者に通知します。
分割払いが基本となりますが、一括払いを認めている自治体もあります。
住宅が建っている土地には課税標準や税率の軽減措置があるため、覚えておきたいですね。
固定資産税の計算方法
種別 | 税率 | 軽減措置 | 軽減措置の適用条件等 |
土地 | 固定資産税評価額×1.4%(※) | 敷地面積の200㎡までは評価額が1/6 200㎡を超えた床面積の10倍までの部分は評価額が1/3 | 1月1日時点で家屋が建っている住宅用地であること |
建物 | 固定資産税評価額×1.4%(※) | 新築後3年間の税額を1/2に軽減 | 住宅の床面積が50㎡以上、280㎡以下 |
※記載の税率は標準税率。税率は市町村によって異なるため注意。
固定資産税と同様に、地域によっては都市計画税が課税される場合があるため、知識としては覚えておきたいところ。
都市計画税=「課税標準額」×0.3%(都市計画区域のみ)
ご注意ください
この記事は顧問税理士の指導・レビューを受けていますが、読者の方が実際に注文住宅を計画する際にはご自身の顧問税理士にご相談の上、ご検討されるようお願い申し上げます。