高級低層マンションとは?
希少価値の高い「真の」高級マンション
高級低層マンションとは、その名の通り、低層タイプのマンションでありながらも資産価値の高い物件を指しています。高級低層マンションは古くから富裕層の資産として好まれている住居です。
タワーマンションなど他の資産価値のあるマンションと比べると、戸数が圧倒的に少なく、1戸あたりの専有面積・共用部面積が大きいという特徴があります。
高級グレードの低層マンションは「低層」「小規模」であっても、ほとんどの物件で専有面積が100㎡を超えます。また大規模な開発マンションでは数百世帯が入居しますが、高級低層マンションでは同じ棟に10〜30ほどの世帯しか住まないことになります。
そしてやはり注目しておきたいのが、その資産価値。
最上級物件では、タワーマンションのプレミアが付いているような最上階ペントハウスをはるかに超える、坪単価500万円以上で取引されることも。このあと解説するように、資産価値が落ちにくいのも高級低層マンションの魅力です。
立地と周辺環境
高級低層マンションの所在地は、例えば東京では、古くは武家屋敷や有名庭園の跡地など、古くからのリーダーたちに愛されてきた由緒正しき土地にあることが多いです。
そのほとんどは閑静な住宅街となっており、周囲の雑音や汚染とは無縁の土地です。
さらに、低層マンションが建てられるようなエリアは、タワーマンションが建てられないような用途地域(法律上の規制)に指定されていることが多いです。こうしたエリアでは、大型の商業施設が建築できないといった用途規制に加えて、高さ制限・建ぺい率制限が厳しめに設定されています。そのため、景観を維持しながら、ゆとりをもったプライベートな環境を作りやすい地域なのです。
こうした要因が、高級低層マンションの価値をさらに上昇させているのですね。
ヴィンテージ価値が認められている
高級低層マンションでは、以下の要素が組み合わされています。
- 居住性が高く住みやすい建物デザイン
- 格調高い外観デザイン
- きめ細やかで継続的なメンテナンスによる建物の品質管理
こうしたものが、その土地の価値に加わることで、他とは比較にならないくらい付加価値を高めているのです。
さらに、共用施設が充実していることや24時間対応のコンシェルジュサービス、上質感のある内廊下など、体験価値の有無もやはり通常のマンションとは異なる部分でしょう。
こうした高級低層マンションは、築年数が経過してもブランド力を維持・保全し、資産価値が下がりにくい構造となっています。こうした物件はヴィンテージ物件として、実際に築20年・30年の低層マンションが数億円を超える価格で取引されています。
低層であっても充実した共用施設と重厚感のある共用部
低層マンションであっても、高級グレードの物件では、プールやトレーニングルーム、プレイルーム(子供向け空間)などの共用施設が充実しています。コンシェルジュやドアマンなど、タワーマンションに標準装備されているようなサービスも当然のように利用できることが多いです。
また、端正な外観を楽しむだけでなく、エントランスから入ったときの安心感を感じさせる美しい共用部も、高級低層マンションの魅力です。
何階までが低層マンション?
一般に低層マンションとされているのは3階程度の建物でしょう。
ただしマンションブランドや、仲介するエージェントによっては4・5階までを低層としていることもあります。4〜6階くらいの高級物件を「低中層マンション」として表現している場合もあります。
低層マンションが建てられている法的理由
高級住宅街の多くは第一種低層住居専用地域、または第二種低層住居専用地域の指定がされています。
これらの地域では高さ制限が10mあるいは12mまでと規制されており、高すぎる建物は建てることが難しくなります。目安はだいたい4階以上の建物になるでしょう。こうした背景もあって、高級住宅街では低層マンションが採用されているのです。
高級低層マンションのメリット・デメリット
資産価値が高く、安心して暮らせる高級低層マンションにはメリットも多いですが、それと同時に他の住居に比べて劣るデメリットもあります。詳しく見ていきましょう。
メリット
落ち着きとゆとりのある住環境
高級低層マンションがあるエリアは閑静な高級住宅地であることが多く、落ち着いた地域に暮らすことができます。幹線道路や大型の商業施設、繁華街から比較的離れており、騒がしい環境から身を置くのには最適です。
また、多くのエリアで建ぺい率規制が敷かれていたり、敷地を積極的に緑化するよう自治体で条例を敷いている地域も多くなってきました。そのため、緑豊かな環境で暮らすことができ、プライベートでリフレッシュするのに良い住環境となります。
さらに、高級低層マンションのある多くのエリアは、第一種低層住居専用地域または第二種低層住居専用地域に指定されており、大型のショッピング施設やパチンコ店など、人の多く集まるような商業施設は建築できません。そうした点でも、落ち着いた住環境が確保されているといえるでしょう。
住民と良好なコミュニティを作りやすい
高級低層マンションは、もともと戸数が少ないということもあり、住んでいる世帯の数はかなり限られます。さらにいえば、ハイグレードの低層マンションは投資効率が低いため(物件価格のプレミアムが大きいことや共益費の負担などによる)、投資マネーが流入しにくく、住んでいる住民の入れ替わりが少ないという特徴があります。そのため、必然的に他の住民の方と接する機会も多くなり、良好なコミュニティを作りやすいでしょう。
タワーマンションでは共用部ですれ違っても、見ず知らずの赤の他人として接することもよくあることです。ですが、高級低層マンションの場合は、同じマンションに住んでいるご近所さんとして接しやすく、コミュニケーションが生まれることで安心して暮らせるのです。
低層ならではの暮らしの利便性が高い
高級低層マンションでは、高層マンションのようなエレベーターの長い待ち時間とは無縁です。戸数が少ないこともあり、外出の際に頻繁にご近所さんと顔を合わせることもないでしょう。さらには気軽に階段を使って上り下りできるところも、タワーマンションでは難しいところです。この点は火災などの災害時にも有利になるはずです。
災害に強く、安心安全
そうした災害時には低層マンションのメリットが強調されます。もともと低層マンションは、タワーマンションに比べて揺れにくく地震に強そうなイメージはあるかと思います。実際、高級低層マンションの多くは壁式工法という地震に強い構造で建てられていることが多く、一般的なマンションと比べても地震への対策はしっかりしているといえます。また、高級低層マンションは地盤のしっかりした高台にあることが多く、水害にも強いという特徴があります。
資産価値を保全しやすい
高級低層マンションは常に一定の需要がある人気の高級住宅街に建てられることが多く、土地の価値が下落リスクが相対的に小さく抑えられます。また高級物件だからこそ可能な、24時間の監視や定期的なメンテナンス、周期的な修繕が行われることがほとんどなので、建物自体の資産価値も保全されやすいのです。
間取りのデザインが美しい
高級低層マンションの多くは、RC(鉄筋コンクリート)造ですが、さらに詳しくいえば壁式工法という構造で建てられていることが多いです。壁式工法では耐力壁を用いることで構造を強固にしており、他の工法であるラーメン工法と比べて、柱や梁が室内に現れにくいという特徴があります。そのため、空間デザインがしやすく、間取りを上手く活用しやすいというメリットがあります。
デメリット
駅や大型商業施設からやや遠い
メリットのところでも説明しましたが、高級低層マンションがある地域の多くは用途地域の指定で、大型の商業施設が建築できないようになっています。落ち着いた暮らしができるという意味ではメリットですが、裏を返せば駅やショッピング施設が遠いということでもあります。
眺望が劣る
高級低層マンションを検討する上で、やはり気になるのは眺望ではないでしょうか。もちろん、タワーマンションの高層階と比べると、低層マンションの眺望は劣るといわざるをえません。とはいえ、高級低層マンションの場合は、その立地のおかげで、ある程度周囲の建物が低く保たれています。そのため、日照の確保という点では問題がないことがほとんどです。
共用施設やサービスが比較的少ない
プールやラウンジなどの共用施設や24時間対応のコンシェルジュサービスなどは、タワーマンションと比べると充実度が比較的少なくなるでしょう。低層マンションはどうしても戸数が少なくなり、共用部面積も小さくなりがちなので、コストと効果を考えれば仕方のないことかもしれません。とはいえ、一般的な低層マンションと比べると、高級低層マンションはそうしたアメニティが比較的充実しています。多くの高級低層マンションではフロントサービスがあり、フィットネスジムが備わっています。
リフォームの自由度が低い
メリットのところで説明したとおり、高級低層マンションのほとんどは壁式工法を使って建物を建てています。壁式工法では、壁によって耐久力を確保するため地震に強い特徴はありますが、開口部(窓)以外の外壁・内壁のほとんどが構造計算に含められています。そのため、間取り変更を伴うようなリフォームをするのが、他のマンションと比べてしにくいというデメリットがあります。
周辺住民とのコミュニケーションが密になりやすい
同じマンションで暮らす他の住民との良質なコミュニティが作りやすいというメリットを説明しました。これは裏を返せば、周辺住民とのコミュニケーションが密になりやすいということでもあります。ご近所付き合いをあまり重視していないオーナーにとって、むしろデメリットに感じてしまうかもしれません。
管理費や修繕積立費の負担率が高い
もともと物件グレードが高い、高級低層マンション。戸数も限られることから、1戸あたりの管理費・修繕積立費の負担が大きくなるのは避けられません。長期的にみれば大きなコスト要因になります。
高級低層マンションの資産価値について
低層マンションだとしても、資産価値の評価という点では、他のマンションと基本的に同じです。
ただし、高級低層マンションになると、その立地やグレード、ブランドなどの要素が加味されます。高級低層マンションは特に、東京では港区や渋谷区などの古くからの高級住宅地にあることが多く、土地の価値が下落しにくいというポイントがあります。どんなに景気が変動しても、長期的に価値を維持する「ヴィンテージマンション」として認知される物件には、こうした要素がもれなく含まれているのです。
最低でも以下のポイントは押さえておきたいです。
立地
高級低層マンションがある土地は、古くからその価値が認められてきた場所であることが大半です。東京の場合では、田園調布などの昭和以降に造成された高級住宅地もありますが、多くの高級住宅地は江戸時代以降に武家屋敷があった山の手周辺の土地です。こうしたエリアは常にその時代のリーダーたちの需要があるため、土地の価格が下がりにくいという特徴があります。
また、こうした高級低層マンションがある立地は、安定した地盤の高台にあることが多く、災害に強いだけでなく、地価を維持する要素になっていることも。物件の立地は、マンションの資産価値の維持にあたって最も重要な要素といっていいでしょう。
ブランド価値
高級低層マンションの供給数は限定されており、必然的に価格が上昇・維持されやすく、「ブランド」が確立していく構造にあります。
この背景は、高級低層マンションの場合には「小規模マンション」だとしてもそれなりの広さの敷地が必要になることです。特に都心部では、慢性的に土地が不足しており、土地の取得が困難なケースが多いです。郊外の人気の高級住宅地でさえ、土地が不足することによる建設地の確保が難しくなっています。高級マンションの供給数が少なく維持される理由はお分かりいただけるでしょう。
供給過多による価格の下落が落ちにくく、マーケットの需給によってマンションのブランド価値を落とす可能性は今後も低いといえます。
建物の状態管理
マンションの資産価値には、建物の状態が大きく影響します。
日常的なメンテナンス、特に定期的な清掃はもちろん重要です。高級低層マンションの場合は、一般的なマンションよりも、より頻度高く、ほぼ毎日のように行われているため、共用部は常に清潔に保たれていることがほとんどです。
また、建物自体の継続的な点検検査が行われているかも重要です。壁や天井、床の細かなひび割れ、剥がれ落ちなどが、修繕されずに残っているようだと、見た目も悪いだけでなく、長期的に資産価値に悪影響を及ぼします。高級低層マンションでは、資産価値の保全に高い意識を持っている組合が多く、何年かに一度は大規模修繕が加えられて資産価値を落とさないように対策されています。
日常的な点検という点では、管理人が常駐しているのとしていないのでは、管理できる範囲が変わってきます。高級低層マンションだと、業務全般を担う管理人に加えて、警備員やコンシェルジュが業務を細かく分担していることが多いです。そのため、管理に一定の品質が確保されており、長期的にみても建物の状態をよく保つのに役立っています。こうした細かな施策が、長期的に見れば、資産価値をより安定的に保存してくれるのです。
長期的に価値あるデザイン
高級低層マンションのほとんどは重厚感があり端正な外観(ファサード)を持っています。
こうしたファサードは、いつの時代でも受け入れられ、一定の需要があります。そのため、どんな情勢であっても、資産価値を維持する要因のひとつになります。近年では、総ガラス張りの外観などのモダンな外観は人気で、需要が高いです。
共用部の仕様
高級感があり住人の品格を感じさせるエントランスやロビーは、高級物件の顔となり、資産価値にもプラスに影響しています。その他にも、プールやジム、ライブラリールームの有無なども、長期的に住人の利便性に影響するため資産価値に影響するでしょう。ただし、共有部の存在はコストにもつながりますので、慎重になる必要があるのは確かです。
高級低層マンション vs. タワーマンション
資産価値のある住まいを探していて、高級低層マンションとタワーマンションで悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
実際、どちらの不動産も住みやすさや資産価値の面で一長一短があります。ここでは、高級低層マンションとタワーマンションのさまざまな要素を比較し、多面的に住まい選びを考えるために整理してみましょう。
高級低層マンション | タワーマンション | |
---|---|---|
周辺環境 | 落ち着きや静寂を重視 | 生活の利便性を重視 |
共用施設 | 比較的少ない | 比較的充実 |
災害対応 | 揺れが小さく避難が容易 | 被災時の影響が大きい |
コミュニティ | 良質で密なコミュニティ | コミュニティの難易度は高い |
資産価値 | 下落リスクが比較的小さい | 下落リスクと向き合う必要 |
人気の都内高級低層マンション
麻布ガーデンズ WEST
六本木ヒルズの麓に位置していますが、周辺は閑静な元麻布の邸宅地。元麻布の高台にあり日当たりも良好で、六本木の喧騒から一歩離れて落ち着いた住まいを手に入れるのにぴったりのロケーションです。国際色の強いエリアの中心にあり、樹々に囲まれた自然を感じさせる端正な外観。一歩踏み入れると重厚感に圧倒されます。
プライムメゾン御殿山
伝統ある邸宅街である御殿山、高級住宅地の高輪に隣接するかたちで計画された最上級プレミア低層マンション。敷地全体で豊かな緑が整備されており、都心とは思えない自然豊かな暮らしを実現できるロケーションです。重厚感のある深岩石やせっ器質タイルを施したファサードからは圧倒的な高級感を感じさせます。
プラウド六本木
東京ミッドタウンに近接していながら、閑静な高台の住宅街に位置し、最高の立地の高級低層マンション。最低販売価格が2億円以上と、国内でも最上級の低層マンションのひとつ。都内一等地にありながらも、緑に囲まれたフォルムは近代的な美しさを感じさせます。3種類の天然石を用いた外壁は重厚感に優れ、遠くから見ても独特の佇まいです。